岐阜商工会議所の概要

平成28年 年頭所感

岐阜商工会議所 会頭 村瀬幸雄

 皆様には、平成28年の新春を健やかにお迎えのことと心よりお祝い申し上げます。

 昨年のわが国経済は、6月に日経平均株価が18年ぶりの高値を記録するなど、輸出関連の大手企業を中心に企業業績が堅調に推移し、雇用・所得環境の改善が進むなど、今年1年を通じて緩やかな回復基調で推移しました。

 そして、地域や中小・小規模事業者も含めた経済の好循環の一層の拡大を実現するため、「地域の元気創造プラン」いわゆるローカルアベノミクスと呼ばれる各種の施策が取り組まれました。

 これらの効果もあって、県内の各指標は個人消費をはじめ改善傾向にあり、企業業績も通期では増益の見通しにあるなど、岐阜県経済は緩やかに回復しているものと言えます。

 本年につきましては、これまで世界経済をけん引してきた中国に往年の勢いこそ見られないものの、周辺のASEAN諸国を含めた市場は今後も高い経済成長が期待でき、また米国も緩やかな回復が見込まれることから、輸出関連企業を中心とした企業収益が引き続き堅調に推移することが見込まれます。

 こうした中、昨年6月に「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」が閣議決定され、今後地方創生に向けた取り組みは一層加速していくものと思われます。これまでの「産官学」に「金労言」を加えた地域のオールキャストで、それぞれの地域資源を掘り起し、これらを有機的に結合させ、新たな資源づくりに取り組むことが求められています。商工会議所としましても、地域の企業や研究者、支援機関と目的を同じくするプレイヤーとしてだけではなく、これらを繋ぐコーディネイターとして、相互支援を促し、イノベーションの創出や新たな地域資源の発掘などに繋がるように仲立ちの役割を果たしていく所存であります。

 とりわけ、今後人口減少・超高齢化社会に突入し、国内需要の減少や経済の地域間格差の拡大が懸案される中、地域の企業が保有する製品やサービス、ビジネスモデルについて、海外を含めた販路拡大を支援することは、中小企業の収益拡大やビジネスチャンスの創出にとってますます重要になっていくものと考えます。

 他方、観光面に目を移すと、岐阜県においては、観光産業を今後の成長・雇用戦略の基幹産業と位置づけられていますが、岐阜県は「飛山濃水」と表される豊かな自然環境や歴史文化の史跡に恵まれており、また刃物や和紙など全国的にも有名な伝統地場産業が厚く集積しており、産業観光の観点からも魅力的な観光資源を有しています。これらの豊富な観光資源を最大限に活用し、国内外の観光誘客を促進するためには、地域ブランドの確立が何よりも重要であります。「岐阜ブランド」の確立に資する官民一体となった横断的な機関の設置など、行政への提言活動などを積極的に行っていく所存であります。

 このような中、観光振興の一助となるべく、岐阜商工会議所では、岐阜市内の鮎菓子製造業者5社7商品による詰め合わせ商品として、ぎふ長良川銘菓「鮎めぐり」を企画いたしました。鮎菓子は清流長良川をイメージした名菓であり、岐阜市内だけでも30を超える店が提供しているなど、岐阜市民にとって身近なお菓子として定着した貴重な地域資源であります。発売から今年で5年目を迎えますが、鮎菓子の製造業者が一堂に集い、岐阜県の土産品・名産品といえば「鮎菓子」と全国に広く認識され、鮎菓子の新たな可能性を探ることができるような「鮎菓子」に特化したイベントを、製造業者の方々はじめ、市民の皆様とともに作ってまいりたいと存じます。

 また、当会館は本年で築54年を迎えることから、現在耐震リニューアル工事を検討しております。県都の商工会議所のシンボルとして、また災害時の緊急対策用として、引き続いて中心市街地の活性化に注力していく方針であります。

 最後になりますが、わが国全体でインバウンドが好調であるなか、昨年「清流長良川の鮎」が世界農業遺産に認定されました。地方創生の正念場となる本年、この慶事を契機として、当地域がその先鞭となりますよう、皆様方と心を一つにして力を尽くしてまいりたいと存じます。 皆さま方の今後のご健勝とご繁栄を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。