岐阜商工会議所の概要

平成29年 年頭所感

岐阜商工会議所 会頭 村瀬幸雄

皆様には、平成29年の新春を健やかにお迎えのことと心よりお祝い申し上げます。

昨年のわが国経済は、年初より中国など新興国の景気減速や英国のEU離脱問題など海外市場の混乱が続き、国内においても熊本地震の甚大な被害を受け、さらには秋に行われた米国大統領選の影響などもあり、総じて波乱の多い展開となりました。

しかしながら、日銀の大胆な金融緩和の継続や安倍政権の経済対策等の効果により雇用・所得情勢の改善が続き、また海外市場の持ち直しなどを背景に、ここに来て景気回復に向けた期待が高まりつつあります。

岐阜県経済については、地場産業を中心に弱含んでいるものの、雇用・所得情勢が引き続いて改善傾向にあり、設備投資も増加しつつあることから、今後県内にも景気回復の波及効果が徐々にではありますが、浸透していくものと思われます。

本年については、米国を中心とした海外市場の回復が続くことが期待され、輸出関連企業を中心とした企業収益が堅調に推移するものと思われます。また、雇用・所得情勢の改善に伴い個人消費の持ち直しが見込まれ、全体では緩やかな回復基調が続くことが予測されます。

こうしたなか、昨年6月に「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」が閣議決定され、地方創生は今や「計画」から「実行」の段階に移行しており、全国各地で様々な取り組みがなされております。 岐阜商工会議所は、その使命目的を果たし、地方創生の先がけとなるよう、諸事業に取り組んでまいる所存であり、特に次の二点に注力いたします。

第一に『岐阜ブランド』の確立であります。

清流長良川に育まれた長良川流域文化にもとづく『岐阜ブランド』を確立し、これを積極的にアピールすることによって、活力溢れるまちづくりと地域経済の発展に寄与してまいりたいと存じます。 一昨年から取り組んでいる「岐阜シャツプロジェクト」は、「繊維のまち・岐阜」の復権を目指すもので、岐阜アパレルの技術力・可能性を最大限に結集したモノづくりへの挑戦であります。 本年は、昨年までに開発した岐阜シャツの更なるブランディングを目指し、国内外において積極的な情報発信を行うとともに、ポロシャツや和装などの関連商品の開発・販売にも取り組みます。 他方、観光産業は旅行・宿泊・飲食に留まらずその他の異業種とも深く連携する総合産業であり、その裾野の広さ故に大きな経済波及効果をもたらします。

「鮎菓子プロジェクト」は、岐阜の銘菓である鮎菓子を貴重な地域資源と捉え観光振興を図る取組であり、「鮎菓子たべよー博」に代表されるようなイベントの企画・開催等を通じて、「鮎菓子のまち・岐阜」を広く発信してまいります。 『岐阜ブランド』を確かなものとするため、同じ長良川流域として歴史的に深い繋がりのある美濃、関の各商工会議所と連携し、今後新たな観光ルートを企画するなどして、これに取り組んでまいる所存です。

さらに、本年は「織田信長公入城・岐阜命名450周年」にあたり、「織田信長公ゆかりのまち・岐阜」を国内外に発信するまたとない機会であります。イタリア・フィレンツェ市と、モノづくりに焦点を当てた経済交流等を実施することにより、「モノづくりのまち・岐阜」についてもアピールしてまいります。

第二に、道路網の整備とその利活用の促進であります。

地域資源を活用した観光振興と地場産業の活性化は、地方創生の実現に欠かせない「両輪」であり、この両輪が地域経済を牽引するための基本インフラである道路網整備に向けて、引き続き注力してまいります。

既に人口減少時代に突入したわが国において、あらゆる生産の根幹である物流の生産性の向上は、将来の労働力不足を克服し、わが国の国際競争力強化に大きく貢献するものであります。また、道路整備はこの地域のモノづくりに貢献するのみならず、災害に強い道路ネットワークの構築といった「まちづくり」にも繋がるものであります。 モノづくりの広域ネットワークを形成する東海環状自動車道西回りルートの一日も早い供用を目指すとともに、県内の各都市を東西に繋ぐ南部横断ハイウェイや名古屋圏域との広域連携の強化を図る名岐道路については、経済団体による推進団体を新たに立ち上げるなどして、地域の高規格道路の建設促進に尚一層尽力いたします。

創立100周年以来長年手つかずであった会館の耐震リニューアル工事が、おかげさまをもちまして昨年7月より着工することができました。完成は本年11月頃となりますが、1階に創業支援やセミナーなど自由に集まることが出来るミーティングルームを設置するなど、会員はじめ多くの皆様が気軽に利用し交流できるような、魅力ある会館を披露できるよう取り組んでまいります。

結びになりますが、皆さま方の今後のご健勝とご繁栄を祈念いたしますとともに、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。