岐阜商工会議所の概要

平成31年 年頭所感

岐阜商工会議所 会頭 村瀬幸雄

皆様には、平成三十一年の新春を健やかにお迎えのことと心よりお祝い申し上げます。

昨年のわが国経済は、米国の関税強化に端を発する米中貿易摩擦が過熱する一方、全体的には日欧EPAやTPPなど自由貿易へ大きく舵を取る動きもあり、世界経済が大きな転換点を迎えるなか、全国各地においては、豪雨災害や度重なる台風上陸、地震発生など大きな災害が相次いだものの、堅調な企業の業績を背景に雇用・所得環境は改善が続き、総じて緩やかな回復傾向でありました。

他方、中小・小規模事業者を取り巻く経営環境は、人手不足や原材料価格の上昇、さらには後継者難の顕在化やAI・IoT化の急激な進展等により、厳しい状況が続いております。

県内の経済については、度重なる豪雨の影響により観光産業を中心に一部弱含むなか、有効求人倍率も高い水準で推移し、企業の人手不足感が高まっているものの、活発な生産活動により製造業を中心に持ち直し、全体としては概ね回復傾向でありました。

本年につきましては、引き続き米中による通商政策の衝突や、英国のEU離脱など、海外における懸念材料に加え、消費増税を十月に控え、人手不足問題も未解消であるなど、先行きに多くの不安要因を抱えているものの、天皇陛下の譲位や新元号の制定という大きな慶事が予定されており、さらには2020年の東京オリンピック・パラリンピックが控える年でもあり、わが国にとって重要な節目の年となるものと存じます。

この歴史的な節目の年に、地方創生に向けた取組みを飛躍させるため、岐阜商工会議所は、その担い手である地域の中小企業・小規模事業者の経営基盤安定化と地域経済の活性化に全力を尽くす所存であります。

とりわけ2020年には、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、この地域にも多数の誘客が見込まれます。また、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放映が予定されており、明智光秀と斎藤道三が過ごした岐阜が舞台となります。これら絶好の機会を生かすため、今年一年をかけて、岐阜県・岐阜市とともに、観光事業の深掘りや発信力の強化に尽力してまいりたいと存じます。

岐阜ブランドの確立にあたっては、昨年十一月に締結いたしました、岐阜県・岐阜市・岐阜島屋・岐阜商工会議所の四者による「地域活性化に関する包括連携協定」をもとに、岐阜の魅力ある産品を発掘し、包装や販売方法まで事業者とともに再考することで、さらに磨きのかかった岐阜ブランドの産品を全国・海外で発信する事業に取り組んでまいります。

さらには、毎年開催しております「鮎菓子たべよー博」では、岐阜島屋と当所会館との二拠点開催とし、サンデービルヂングマーケットとも連携することで、岐阜市中心市街地の活性化にも貢献してまいりたいと存じます。

岐阜の繊維企業の若手経営者たちで挑む岐阜シャツプロジェクトにおいても、岐阜市姉妹都市であるフィレンツェ市企業との商品開発提携など、新しい事業にも力を入れ、岐阜アパレルのさらなる魅力発信・国際交流にも努めてまいります。

また、商工会議所会館がリニューアルとなって丸一年経過し、会員はもとより市民の皆様に広く活用していただいており、感謝申し上げます。特に好評を得ております、特設ルームでの「合同記者発表会」事業については、毎回マスコミの皆様にも協力を得て、会員企業の新商品や新サービスの紹介に大きな効果が出ております。今後はプレゼン方法の工夫やノウハウ提供も含めて、合同記者発表会の質を向上させていき、会員事業者の販路拡大に貢献してまいります。

そして、商工会議所の使命であります中小企業・小規模事業者への経営支援にあたっては、十月に予定されております消費増税に伴う軽減税率制度への対応をはじめ、創業、事業承継、IT・IoT化、海外展開、事業再生といった事業者のライフステージに応じた支援をきめ細かに対応する伴走型支援や、外部機関と連携したセミナー等の開催により、企業の持続的な発展、ひいては地域活性化に資するよう、これまでにも増して強力に推進してまいります。

人口減少に加え、豪雨などの災害が多発するなか、生産性向上による防災・減災の観点から社会基盤の整備促進への機運はますます高まっております。昨年施行された「重要物流道路制度」に則った、アクセス道路を含めた効率的かつ災害に強い道路網の整備促進に向けて、積極的な要望活動を展開してまいります。

最後になりますが、皆様方の本年一年のご健勝とご繁栄を祈念いたしますとともに、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。