岐阜商工会議所の概要

令和2年 年頭所感

岐阜商工会議所 会頭 村瀬幸雄

皆様には、令和二年の新春を健やかにお迎えのことと心よりお祝い申し上げます。

昨年のわが国経済は、最大の貿易相手国である米中間の貿易摩擦が長期化し、輸出額の減少や企業マインドの低下などの影響を受けました。しかしながら、雇用・所得環境の改善や堅調な設備投資により国内需要は底堅く推移したことから、全体としては緩やかながらも拡大基調を維持し続けました。

岐阜県経済は、中国経済の減速の影響もあり、一部生産に弱めの動きがみられましたが、輸出・設備投資が堅調に推移し、良好な雇用・所得環境も持続したことにより拡大基調が継続しました。

県内の観光は、天皇陛下御即位に伴う祝日の増加や、ラグビーといったスポーツの大きな盛り上がりが追い風となった一方、日韓情勢の悪化や中国経済の減速がインバウンドに大きな影をおとすこととなりました。

本年は、米中貿易摩擦の先行きや英国のEU離脱問題、日韓関係、不安定な中東情勢など、海外動向によって、一時的に景気が下振れするリスクがあるものの、個人消費は持ち直しが続くと見込まれています。7月から9月にかけては、東京オリンピック・パラリンピックの開催によりインバウンドや個人消費のさらなる喚起が期待されています。

このような中、本年12月に岐阜商工会議所は創立130周年を迎えます。歴史ある商工会議所としての誇りを持ち、先人が築かれた岐阜地域の産業・経済・文化をさらに発展させるため、全力を尽くしてまいる所存です。

間もなく放映されますNHK大河ドラマ「麒麟がくる」は、美濃出身の武将 明智光秀を主人公として、織田信長、斎藤道三など、岐阜で活躍した武将らとともに、戦国時代を新しい解釈で描きます。

非常に注目度の高い作品で、岐阜城や大河ドラマ館をはじめ、岐阜に多くの観光客が訪れることが予想されます。当所では、行政としっかり連携し、鋭意諸事業を展開し、岐阜の魅力を十分PRしてまいりたいと存じます。

さらに、5月には「エンジン01in岐阜」が、「ナンヤローネ?ナンカヤローネ!日本の未来にギフトを。」をテーマスローガンに盛大に開催されます。日本の文化・芸術をリードする百名以上の識者が岐阜を訪れます。岐阜大学や市内各所でのまちなか講座に加え、夜は岐阜市内各所のレストランや居酒屋で「夜楽」と称し、地域の皆さんと知の交流を行うスペシャルイベントです。岐阜の魅力を再発見し、磨きあげ、岐阜ブランドとして全国に発信する絶好の機会であり、成功に向け尽力したいと存じます。

国際交流は、岐阜市の姉妹都市であるフィレンツェ市との関係を、岐阜ブランド確立・繊維産業の活性化を目指す「岐阜シャツプロジェクト」を通じ、さらに深めてまいります。

また、毎年恒例となってまいりました岐阜ブランド発信事業「鮎菓子たべよー博」は、昨年、岐阜島屋やサンデービルヂングマーケットなど柳ヶ瀬エリアと連携することにより更なる発展を見せました。本年はその成果を継承するとともに、当所130周年の記念事業など他の事業との連携も図りたいと存じます。

岐阜市は昨年、市政130周年を迎え、来年には新庁舎への移転を控えています。さらに島屋南地区の再開発、名鉄名古屋本線の高架化など、今後岐阜のまちづくりに大きな変化が訪れます。当所会館は、岐阜市中心市街地に位置し、地域の交流拠点、防災拠点として大いに活用を図ってまいります。

全国的に災害による被害が激化・多発する中、社会基盤の一員である企業には、災害発生時でも事業が継続できるようBCPの策定が求められています。岐阜市内企業のBCPの策定支援に注力するとともに、その根底となる社会インフラ、特に、重要物流道路である東海環状自動車道、岐阜南部横断ハイウェイをはじめとした高規格道路の早期整備促進にも、引き続き尽力してまいります。

そして、地域経済の担い手である中小・小規模事業者の支援にあたっては、人手不足や後継者難などの経営課題が山積しており、当所の伴走型支援による課題解決を通じ、地域の事業者を減らさない取組みが肝要となります。また、創業者の意識やステージに沿ったきめ細かな支援もあわせて展開し、創業・守成の両輪で地域経済の発展を図ってまいります。

本年は、創立130周年の節目の年にあたり、岐阜地域のさらなる発展のため、昨年11月にスタートした新体制のもと、様々な地域活性化施策を鋭意実行してまいりたいと存じますので、役員、議員、会員の皆様には、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

最後になりますが、皆様方の本年一年のご健勝とご繁栄を祈念いたしまして、年頭の挨拶とさせていただきます。