岐阜商工会議所の概要

令和3年 年頭所感

岐阜商工会議所 会頭 村瀬幸雄

皆様には、令和3年の新春を穏やかにお迎えのことと心よりお祝い申し上げます。

昨年は世界的に新型コロナウイルス感染症が蔓延し、過去に類を見ない新型ウイルスの脅威に直面した一年でありました。世界各国で、都市封鎖や入国制限などの措置が講じられ、わが国においても、感染対策と経済活動の両立のために様々な手立てが講じられました。コロナとの対峙は続いており、私たちは一致団結してこの難局を乗り越えていかなければなりません。

国内では4月に緊急事態宣言が発令され、営業時間の短縮や休業要請、外出自粛などにより経済が停滞し、サービス業を中心に個人消費が大きく落ち込むなど、4―6月期の日本経済は歴史的なマイナス成長となり、企業収益も大幅に減少しました。しかしながら、緊急事態宣言が解除された5月下旬以降は、政府による財政・金融政策にも支えられ、世界的な経済活動の再開とともに日本経済は最悪期を脱して底堅さを見せ、輸出や生産など企業活動は徐々に持ち直しました。11月以降、再び感染者数が増加に転じており、感染拡大が内外経済を下振れさせるリスクへの注意が必要となります。

岐阜経済は、観光産業の要である旅館等の稼働率が一時的に一割以下まで落ちこみました。「GOTOトラベル」は、10月、11月と、客足の回復基調を招来しましたが、12月には、年末年始の全国一律停止が発表されました。今後の感染動向により、景気の先行きが左右されるため、依然として予断を許さない状況が続いております。

本年は、ワクチンの早期実用化などによる感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善に伴う持ち直しの動きが続くことを期待します。

このような中、岐阜商工会議所は昨年12月に創立130周年を迎えました。振り返れば、創立した翌年の明治24年には濃尾大震災が起こり、大多数の家屋が倒壊し荒廃した町から復興する多難な船出となりました。その後、幾多の困難を乗り越え現在の産業・文化を築いた先人の一旅中興の精神を引き継ぎ、本年は戦後最悪の落ち込みとなった経済情況からの回復を目指します。具体的にはコロナ収束を見越し、昨年延期したイベントなどを積極的に開催していきます。

なかでも「エンジン01」は、芸術・文化・科学・スポーツなど幅広い日本文化を学ぶことができるとともに、岐阜の認知度向上を図る絶好の機会であり、成功に向け尽力したいと存じます。また、このイベント開催時だけにとどまらず、継続して岐阜地域に観光客が訪れたくなるような仕組みづくりを、行政や地元事業者とともに展開していきたいと存じます。

さらに毎年開催しておりました「鮎菓子たべよー博」についても感染拡大防止の観点から実施できるイベントは限られますが、高島屋前にて銘菓鮎菓子の販売に特化した「鮎菓子マルシェ」を実施することで、柳ケ瀬エリアの活性化につなげ、引き続き岐阜の鮎菓子の知名度向上を通じて、岐阜ブランドの確立・観光振興に寄与したいと存じます。

また、広域での観光産業の活性化にも尽力します。昨年は創立130周年記念事業の一環として岐阜市内で「かわべの宵(ゆうべ)」を開催しましたが、「長良川上中流域」には、美濃の「美濃和紙」や、関の「刃物」、郡上の「藍染め」などといった、水や川の水運と深いつながりのある伝統工芸が厚く分布しております。将来的にはこうした点在する多くの観光資源を「長良川」ブランドへとつながるよう取り組んでまいります。

国際交流は、具体的な事業は新型コロナの状況を見ながらにはなるものの、昨年失われた時間を一気に取り戻せるような取組みを積極的に行いたいと考えております。

岐阜市は今後、市役所の新庁舎移転や、高島屋南再開発、名鉄名古屋本線の高架化に伴い、岐阜のまちづくりに大きな変化が訪れます。当所会館は、岐阜市中心市街地に位置し、地域の交流拠点・防災拠点として大いに活用を図ってまいります。

昨年、中濃から飛騨地方を中心に大きた被害をもたらした「7月豪雨」のように、全国的に災害による被害が激化・多発する中、社会基盤の一員である企業には、災害発生時でも事業が継続できるようBCPの策定が求められています。岐阜市内企業のBCPの策定支援に注力するとともに、その根底となる社会インフラ、特に、重要物流道路である東海環状自動車道、岐阜南部横断ハイウェイをはじめとした高規格道路の早期整備促進にも、尽力してまいります。

さらに、地域経済の担い手である中小・小規模事業者は、人手不足や後継者難などの経営課題が山積する中、新型コロナの影響も相まって、事業承継の時間軸は一気に早まったと考えております。支援にあたっては、地元金融機関との連携や事業引継ぎ支援センターなどを活用しながら、伴走型支援による課題解決を通じ、地域の事業者を減らさない取組みが肝要となります。

最後になりますが、皆様方の本年一年のご健勝とご繁栄を祈念いたすとともに、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。