皆様には、令和四年の新春を穏やかにお迎えのことと心よりお祝い申し上げます。
昨年は地域格差はあるものの、世界的に新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が浸透しました。また年央からの原油価格高騰など原材料高による影響も出ておりましたが、経済・社会活動の再開に向けた動きが強まる一年となりました。
国内では新型コロナ第三波の最中に新年を迎え、春先の第四波、東京オリンピック・パラリンピックと重なった第五波と、三回の波を経験し、行動制限と我慢を強いられた一年となりました。
一方、ワクチン接種率の上昇に伴い、新規感染者数の減少や抗体カクテル療法の広がり、経口治療薬の実用化に向けた動きなど、アフターコロナに向けた歩みが着実に進みました。感染状況は落ち着いており、飲食や宿泊など外出関連業種を含め、国内の経済活動が持ち直しに向かいつつあります。
岐阜経済にも、明るい兆しが少しずつ見えています。コロナ禍で長期に亘り人流が抑制されてきましたが、年末にかけて行動制限の大幅な緩和や、県民割などの経済対策の効果がはっきりと表れてきました。観光産業の要である旅館等の需要は、国内個人旅行を中心に回復基調にあります。
本年は、オミクロン株の感染拡大など第六波に備えつつ、「ワクチン・検査パッケージ」等を活用し、細心かつ慎重に経済・社会活動の両立を進めていかなければなりません。 再開に向けた経済活動の動きを後押しし、本格化するために、本年も中小企業への支援を最優先に事業展開してまいります。
具体的には、小規模事業者を対象とする「小規模事業者持続化補助金」等の支援に加え、中小企業規模までを対象とする「事業再構築補助金」等の活用にも一層注力します。支援企業の範囲を拡大し、地域を支える事業者に積極的に貢献してまいります。
産学連携事業にも引き続き取り組み、活動を一層強化してまいります。本年は岐阜大学研究室への「事業者向け見学ツアー」を開催します。研究成果を目にして体験することで、用途開発など、事業化に繋がることを期待しています。さらに事業者と大学とのビジネスマッチングの強化を図るとともに、新製品や新サービスの開発支援、ならびに創業意欲のある学生に対してのスタートアッ支援にも努めてまいります。
新たな試みとして、移動販売車を導入し、地域のマルシェなどに参加できるように、提供します。コロナ禍で移動販売に商機を求める既存会員を対象に、新たなビジネスモデルの開発・実験の場としてスタートします。その後、対象を創業希望者まで広げ、飲食や物販を志す方々のテストマーケティングの場として、創業も含めた幅広い支援に繋げていきます。
さらに、国際交流については、引き続き関係先とのオンラインでの交流や情報交換など積極的な活動を行ってまいります。
岐阜市役所の新庁舎が昨年完成し移転しました。柳ケ瀬地区をはじめ、岐阜駅から新庁舎の間の再開発や、名鉄名古屋本線の高架化など、今後も中心市街地には大きな変化が訪れます。
こうした中、昨年は「道三まつり」や「信長まつり」、さらに夏の「花火大会」など、慣れ親しんできた風物詩を目にすることが叶いませんでした。この思いは、祭りやイベントの重要性を再認識することとなりました。今こそ、地域が一体となり、その価値を見直し、地域活性化に繋がる取り組みを真剣に考える時期なのかもしれません。
観光産業の活性化にも尽力してまいります。昨年は当所が企画し、長良川畔の新たな楽しみ方を提案するイベント「かわべの宵(ゆうべ)・かわべの時間」が日本商工会議所主催の「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」において、「優秀賞」の栄に輝きました。長良川上中流域には、美濃の「美濃和紙」や、関の「刃物」、郡上の「藍染め」などといった、水や水運と深いつながりのある伝統工芸が多く存在します。各地に点在する多くの観光資源を磨き「長良川ブランド」へと繋がるよう取り組んでまいります。
また、現下では地球環境と経済活動の調和が求められSDGsやカーボンニュートラルの推進が国際的な潮流となっております。地域事業者のブランド戦略にも欠かすことのできない活動であり、講演やセミナー等を通して啓発に努めてまいります。
コロナ禍が2年近く続き、事業承継や譲渡の時間軸は一気に早まったと実感しております。支援にあたっては、昨年四月に開所した「岐阜県事業承継・引継ぎ支援センター」をはじめ、地元金融機関等と連携しながら、伴走型支援による課題解決を通じ、地域の事業者を減らさない取り組みを進めてまいります。
地域の活性化には、ビジネスをはじめ、観光・防災など、あらゆる面にわたるインフラ整備が重要です。特に、当地域の重要物流道路である東海環状自動車道、岐阜南部横断ハイウェイをはじめとした高規格道路の早期整備促進については、本年も積極的に要望活動を展開してまいります。
結びに、皆様方の本年一年のご健勝とご繁栄を祈念いたしますとともに、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。