岐阜商工会議所の概要

令和6年 年頭所感

岐阜商工会議所 会頭 村瀬幸雄

皆様には、令和六年の新春を清々しい気持ちでお迎えのことと心よりお祝い申し上げます。

昨年の世界経済は長期化するロシア・ウクライナ問題に加え、10月には、新たにイスラエル・ハマス紛争が勃発し、地政学的リスクが一層高まってまいりました。このような世界の情勢不安に加え、円安進行により、エネルギー・原材料高騰を発端とする物価高や、慢性的な人手不足が国内経済に大きな影響を及ぼしています。

一方、国内では、5月の新型コロナウイルス感染症5類移行に伴い、人の流れ、物の動きが大幅に戻ってまいりました。それに伴い、個人消費の増加やインバウンド需要の復活が見られ、景気回復を実感できる一年となりました。

明るい話題もありました。3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、栗山監督率いる侍ジャパンが、3大会ぶりの優勝を果たし、大谷選手をはじめとする選手達のプレーに熱狂し、日本中が感動と興奮の渦に包まれました。

また、2025年の大阪・関西万博開催に向けたカウントダウンも始まっています。スポーツ界同様、日本が持つ多彩なポテンシャルを発揮し、未来社会をわくわくさせるような万博の実現を願うところです。

岐阜経済についても、ビヨンドコロナにおける、飛躍に向けた足がかりを築き始めています。インバウンドの回復や環境変化に対応するための堅調な設備投資、および人流回復による消費意欲の持ち直しなどを背景に、回復基調をたどると期待されます。

岐阜市中心市街地では、再開発や再整備により新たなにぎわいが生まれ、駅周辺においてはJR岐阜駅北側の2地区一体の再開発組合が設立され、ツインタワーの建設に向け動き出す等、新たな魅力ある岐阜の顔となることが期待されています。

一方で、県内唯一の百貨店の閉店が決まり、街への吸引力低下も懸念されており、今後の中心市街地活性化について、関係団体や行政等と、より一層の連携を図り取り組む必要があります。

地域の中小・小規模事業者におけるビジネス環境の変化のスピードが増す中で、競争力を維持し強化するためにはDXの推進が大きな力となります。また、地球環境と経済活動の調和を図り、持続可能な社会を実現するために、SDGsやカーボンニュートラルに取り組む必要があり、今後は成長分野として、社会課題の解決に資する投資が加速していくものと考えられます。

今年度も当所は、調達コスト高および人口減少に伴う労働力不足等、厳しい環境下にある事業者への支援を最優先に活動してまいります。変化の激しい不透明な時代を、事業者が成長の好機として捉え、将来に夢を持ち、果敢に挑戦できるよう、スタートアップ、事業承継や事業転換の支援に全力で取り組みます。

そうした事業者の期待に応えるべく、当所に在籍する経営支援員について、中小企業大学校をはじめとする育成機関への派遣や、各種研修の受講、DX・GXの知識習得など、各自のスキルアップに努めてまいります。

観光振興では、コロナ禍を経て変化した旅行者の価値観・ニーズも踏まえながら、観光資源を発掘し、磨き上げ、インバウンド需要の喚起と観光消費拡大を目指すべく、地域ブランド価値向上につながる取り組みを支援してまいります。

地域産業のブランド化についても注力してまいります。観光土産品やアパレル等、岐阜から全国に発信する地場産品の認知度向上及びビジネスチャンスの拡大を目指し、ブランド力の確立・向上に積極的に取り組むとともに、内外に向けたプロモーションを展開することで、中小・小規模事業者の振興発展を図ってまいります。

インフラ整備では、2026年の全線開通を目指す東海環状自動車道西回りルート、岐阜市内立体化事業が始動した岐阜南部横断ハイウェイ、国の事業認可を受け大きく踏み出した名鉄名古屋本線立体化などについて、本年も各推進団体と連携し、要望活動を積極的に展開してまいります。

最後に、昨年8月に開催し、地域一帯に活力を与えた「ぎふ長良川花火大会」では、開催後のアンケートにおいて、満足したとの評価が8割近くを占め、今年も開催を望む声が多く寄せられました。今後も継続して開催できるよう引き続き、関係者の皆さまと注力してまいります。

皆様方の本年一年のご健勝とご繁栄を祈念いたしますとともに、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。