岐阜商工会議所の概要

令和7年 年頭所感

岐阜商工会議所 会頭 村瀬幸雄

皆様には、令和7年の新春を清々しい気持ちでお迎えのことと心よりお祝い申し上げます。

昨年の海外経済は世界的なインフレが鈍化し、米欧では中央銀行による利下げが開始されました。足元の経済指標も堅調さを保ち、経済のソフトランディング(軟着陸)はほぼ確実ではないかと考えています。

一方、米トランプ大統領就任により、輸入関税の引き上げによるインフレ再燃や中国経済の失速による影響が懸念されます。

国内では、年初より甚大な被害をもたらした能登半島地震が発生しました。復興に向けて当所からも、のべ8名、31日間に亘り、経営支援員を派遣し、事業再開のための補助金申請サポート等を支援しました。

国内経済について、春季労使交渉では、大手を中心に33年ぶりとなる大幅な賃上げが実現しましたが、中小・小規模事業者の多くは、賃上げ原資の確保に苦しんでいます。雇用の7割を支える中小・小規模事業者が、価格転嫁や生産性向上に加えて、人材資本へ積極的に投資ができてこそ、真の経済成長が実現するものと考えています。

明るい話題もありました。 大リーグ大谷選手の活躍に加えて、パリオリンピックでは、日本の選手の活躍が日本中に元気を与えてくれました。

岐阜県においては、国民文化祭、「清流の国ぎふ文化祭2024」が開催されました。開会式に合わせて天皇皇后両陛下がご来県され、夜には提灯奉迎も行われました。両陛下が提灯を振ってお応えされる御姿は、県民の心にも灯りをともされました。

岐阜経済についても、明るい兆しが見えて参りました。長良川鵜飼の観覧客数では、外国人観光客が全体に占める乗船率が過去最高を記録しました。また、今年3月には、岐阜公園のリニューアルが予定されており、川原町を含め周辺エリア一帯の活性化に繋がることを期待しています。

岐阜市中心市街地におけるまちづくりでは、JR岐阜駅北側のツインタワー計画や名鉄岐阜駅周辺の再開発が本格的にスタートし、新たな魅力ある岐阜の顔となることが期待されます。一方で、県内唯一の百貨店であった岐阜高島屋が、昨年7月に閉店しました。中心市街地の吸引力低下が懸念される中、当所では、中心市街地専担の経営支援員で構成されるチームを組成し、新たな事業者の出展支援や既存事業者の経営課題解決に向けた支援を行っていきます。

地域の中小・小規模事業者を取り巻く環境において、人口減少・高齢化の進展による人手不足が進展しております。また、県内企業を対象とした価格転嫁に関する調査では、原材料価格上昇分の転嫁ができている企業は半数程度、労務費上昇分も含めた価格転嫁は3割程度に留まっています。サプライチェーンにおける全ての企業が、共存共栄の意識を高めるとともに、取引価格の適正化を通じて、賃上げの裾野を中小・小規模事業者に広げていく必要があります。

当所は、生成AIの出現など取り巻く環境変化のスピードが増すなか、多くの課題を抱える事業者への支援を最優先に活動して参ります。地域事業者の持続的発展を支援するための基本計画「経営発達支援計画」を指針とし、創業から事業拡大、事業転換および事業承継までのステージに応じたメニューをパッケージとして提供します。また、新たな産業・雇用機会の創出につながる、スタートアップ支援にも注力して参ります。

観光振興では、旅行者の価値観・ニーズを踏まえた有形無形の観光資源の発掘に注力し、インバウンド需要の喚起と消費拡大を目指します。「ぎふ長良川花火大会」は、今後も全国に誇れる花火大会として、シビックプライドを醸成し、観光誘客による経済効果拡大に資するよう、官民一体となって取り組んで参ります。

地域産業の付加価値創造と競争力の強化にも注力します。昨年、岐阜市とともに当所も経済視察団として、友好姉妹都市であるフィレンツェ市を訪問して参りました。現地で開催した、岐阜の産品を紹介するイベント「GIFUディスプレイ」では、岐阜の伝統工芸や食品が、高い評価を受けました。同様に、岐阜の地場産業であるアパレルについても協業の提案をいただき、これを好機と捉え、岐阜のファッションを世界に発信するために、行政とともに事業者の取組みを支援して参ります。

インフラ整備では、いよいよ東海環状自動車道岐阜ICの開通が間近に迫っています。地域経済の活性化や、まちづくり、さらには防災の観点から、大きな効果が期待されています。引続き、東海環状自動車道の全線開通、岐阜南部横断ハイウェイ、名鉄高架立体化などの早期実現、リニア中央新幹線の早期開通に向けて、本年もしっかりと要望活動をして参ります。

皆様方の本年一年のご健勝と管内事業所のさらなるご繁栄を祈念いたしますとともに、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。