岐阜商工会議所の概要

平成30年 年頭所感

岐阜商工会議所 会頭 村瀬幸雄

皆様には、平成三十年の新春を健やかにお迎えのことと心よりお祝い申し上げます。

昨年のわが国経済は、米国における保護主義の台頭や中国の海洋進出、北朝鮮の核開発問題など多くの不安要素を抱えながらも、政府による成長戦略や堅調な大手企業の業績を背景に景気拡大し、十一月には日経平均株価が約二十六年ぶりの高値を更新するなど、景況は概ね良好でありました。

一方、物流業界を中心に人手不足が深刻化するなど、わが国の構造問題である少子高齢化にいよいよ正面から向き合わなければならなくなりました。

岐阜県経済については、国内外の活発な設備投資や輸送機械などの生産持ち直しの動きにより、製造業を中心に回復基調となり、有効求人倍率は全国の中でも高い水準となりました。また、雇用・所得環境の改善により、個人消費についても改善傾向にあり、総じて緩やかな回復傾向にあるものと言えます。

本年につきましては、米国との貿易問題や日本の品質主義を脅かす大手メーカーの不正問題など課題はあるものの、雇用や所得の改善による個人消費の増加や、AI・IoTなどによる世界的なイノベーションの発展に伴う市場拡大が見込まれ、全体では引き続き回復基調を維持するものと予測されます。

こうしたなか、昨年六月に「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」が閣議決定され、地方創生は新たな段階に移行しました。今後は、付加価値の高い地域産業の育成や東京一極集中の是正など、地方経済に好循環をもたらす取り組みが一層加速していくものと思われます。

岐阜商工会議所は、地域の経済団体として、地域経済の活性化を図るため、諸事業の推進に邁進していく所存であります。

とりわけ、人口減少が避けられない当地域にとっては、地方創生は第一に取り組むべき課題であります。地域の経済・社会機能を維持・向上させるには、生産性の向上や、地域間連携による補完・相乗効果の発揮が必要不可欠であり、そのどちらにとっても、道路網の整備は必須の課題であります。

道路網の整備効果は、時間短縮や定時制の確保による物流の効率化は言うまでもなく、ヒト・モノの交流を加速させ、地域間連携を促す効果があり、道路網整備は地方創生の要であります。

なかでも、岐阜県内道路網の骨格となる東海環状自動車道、岐阜南部横断ハイウェイ、また、 一大経済圏である名古屋市との連携関係をさらに深める名岐道路については、地方創生にかかせないものとして、その整備促進に向けてより一層尽力してまいる所存です。

また、長年の課題でありました岐阜商工会議所会館の耐震化工事につきましては、議員の皆様をはじめ、多くの方からの物心両面にわたるご協力・ご支援により、昨年十月二十五日に、耐震リニューアル工事が完成し無事ご披露することができました。

今後は、新しくなった岐阜商工会議所会館を拠点として、岐阜のまちづくりや創業者支援に役立つ取り組みをしていきたいと思います。

ガラス張りで開放的なつくりとした一階セミナールームでは、創業支援に関するセミナーを開催。また、岐阜あげての大きなイベントの大半は、長良橋通りで展開されることに鑑み、イベントに花を添えるような催しも企画してまいります。

そして、毎年恒例となってまいりました「鮎菓子たべよー博」については、本年はこの新しくなった会館で執り行います。

本年の「鮎菓子たべよー博」は、岐阜ブランドを盛り上げる「鮎菓子プロジェクト」の旗艦事業として、これまでにも増して、菓子事業者の意欲や創意工夫を引出し、その熱意を県内外へアピールする場としての意味を強くしていくため、事業者の皆様との連携を深め、「岐阜といえば鮎菓子。鮎菓子といえば岐阜」と全国から認識してもらえるよう、引き続き取り組んで参ります。

一方、団塊世代の経営者が大量引退期を迎える「大事業承継時代」の到来が危惧されておりますが、中小企業には後継者不足に悩む企業が多く、後継者不在により廃業に追い込まれる企業も少なくありません。地方経済の中核を担う中小企業の減少は地域の活力低下に直結しており、当所としては、事業引継支援センター等を通じ、平成三十年度税制改正に盛り込まれた事業承継税制を追い風に、中小企業の事業承継を支援してまいります。

最後になりますが、皆様方の本年一年のご健勝とご繁栄を祈念いたしますとともに、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。